げーむ・ふぉりお

主にゲーム感想等ゲームについてのブログ

八剱伝(PC)感想

前置き

当記事で扱う「八剱伝」を制作したブランド・IRODORIについて、批評空間から全ユーザーのデータを消去する措置が決定いたしました。当ブログではその意向を尊重し、ここに感想記事を残したいと思います。

また、全年齢のページに移行したことにより、多少原文から表現を変更してあります。

 

 

雑多感想

ネタバレ無し

枯れない紅葉に彩られた、八人の主人公が織りなすザッピング式和風アドベンチャー

主人公が8人いて、それが2人ずつで4組になっている本作。これはカプ厨(自分)向けだ!と思って買いました。実際、複数主人公モノが嫌いな人は回れ右。そして、複数主人公全員が濃密に絡み合うわけではないので、そこを期待している人もやや回れ右なのが本作の難しいところ。

今回は点数内訳の項を省きましたが、74点だったため、自分の中では「あと一歩足りない!」という評価でした。その理由については批評空間から移行してきたネタバレ記事でお察しください。

 

おすすめする人:複数主人公モノ好き 和風もの好き ヴォーカル曲好き

おすすめしない人:複数主人公・固定CP嫌い 戦闘シーン好き

総評(批評空間の記事)

以下は批評空間からそのまま持ってきた感想文です。

ネタバレ有・クリックで詳細表示

作品への好感度   B(S・A〜E)
他人へのおすすめ度 C(S・A〜E)

各ルート・エンディングの感想、総評の順になっています。

評価:幻八>>大鶴>>>華野>>>志乃

志乃/宗介編
内容を把握するのにかなり時間をかけたパート。すごく入りにくかったのは確かです。
中盤からは何となくキャラクターと情勢を掴めるようにはなり、一応置いてかれずに読むことができました。

雲雀が死ぬ前後あたりで志乃があんまりにも可哀想になり、そこからは結構楽しく読めたかなと思います。このルートでは他のルートで活躍した熊鷹の死も描かれますが、これが結構可哀想。家に振り回され続けた熊鷹が、自分の思った通りに生きようとしたにも関わらず、結局友人の大鶴がいる(と思い込んでいる)朱教に振り回され志乃によって殺されるシーンは流石に熊鷹が可哀想すぎて泣けてきました。この作品で一番悲しかったのはここだったと思います。

個人的には宗介があんまりにもモブめいており、メイン中のメインのはずなのに地味なのがなんとも受け入れづらかったです。まあモブっぽかったのは事情があってのことなので、仕方ないのですが…

あと上杦さんが仕方ないとはいえ全然出てこなかったのは悲しいです。

・後日譚
こんな世にするために頑張ってきたんじゃないと脆さが全面に出た志乃と、それを見守る宗介。そして雲雀。この三人のやりとりが良かったです。
また、結構ギャグに振り切ったシナリオであり、堅物にはギャグやらせておけば面白いというのがよくわかりました。

 

古文吾/幻八編
おバカなように見えて聡明な幻八と、天才のように見えて抜け作の古文吾(+船虫)のやり取りは、読んでいるだけで思わずクスッとなるものでした。それだけに、船虫が死んだ時はとても悲しかった。船虫以外もまさかこの後バンバン死ぬことになるとは流石に考えてもいませんでしたが。

また、戦時に他人の生命の選択をしなければいけなくなった古文吾のシーンなんかは、普段アホっぽさが強調されがちな古文吾の葛藤なんかが垣間見えてよかったと思います。

途中で古文吾が幻八を引き止めるシーンがありましたが、最後の方は幻八も古文吾を信頼しているようなセリフがちらちらあり、こうして矢印が向き合うのはいいなあと思いました。

・後日譚
可愛い。

導雪/華野編
富里派としては華野の方が刺さらず、うーんと思いながらのプレイに。富里が死んだ後からは華野もいいかも?と思い始めてきました。多分お互いにようやく打ち解けようという意思が明確に出てきたからだと思います。

しかしやはり最後の方まで乗り切れず。そもそも仇討ちという主題がそんなに好きでないのと、仇が最終的に2人に分散してしまったせいかなと。

・後日譚
絵を描いて暮らし、剱を捨てた彼らを応援したくなるようなシナリオでした。古文吾との関係も掘り下げられており、満足。後日譚で一番評価が変わった組でした。
本編では富里派でしたが、ようやく華野をヒロインだと認識できるようになりました。

真兵衛/大鶴
耳が幸せコンビ。プレイ前には一番興味が向いていなかったのに最終的には一番好きなコンビにまで上り詰めてしまいました。とにかく大鶴ちゃんが可愛すぎるのが良かったです。
大鶴は生まれたてのヒナみたいに真兵衛に連れられてピヨピヨ後をついていくのがかわいいと思いました。しかし世界を見て回った後に、決意を固めた彼女もまた良かったです。

そして明かされる、真兵衛が最初の八剱士であるという衝撃の事実。最初の方に出てくる人のCVがほうでん亭センマイさんなのは気がついていましたが、別人だと思っていました。こういう生き残りキャラには弱いんですよね…。以前は真兵衛の方から差し伸べていた手が、大鶴によって差し伸べられる。こういうのにも弱いです。

・後日譚
むくれる大鶴とはしゃぐ真兵衛という新境地を見せてくれました。期待してなかったのに大鶴のほっぺをもちもちするシーンがまさか存在しており、びっくり。
そしてきちんと真兵衛の死後の世界まで見せてくれたのが良かったです。


七章
全てが揃ったものの、本当に八人が四人ずつでてんでバラバラなため、どう感情を持っていけばいいかがわかりませんでした。心を通わせた仲間の総力戦の方が好きなので、結構読むのがきつかったです。また、肝心要のバトル要素もレスバばかりで薄い。
それでも唯一古文吾・幻八VS新志郎は良かったと思いましたが、あとはなんかこう、なんで全員揃ったのに何故面白く感じないのかをずっと考える羽目に。他社の作品でレスバ慣れしているのもあり、本作のレスバそのものに新鮮さや面白みを感じなかったせいなのか、因縁同士のはずなのに割とあっさり気味のやり取りだったからなのか。オチまで見てさらに期待値がガクーっと下がっていく感覚に。この作品のキャラ、裏切りすぎだろ。


八章
ここにきてメインが真兵衛と大鶴コンビに。というか、話の中核は途中からは里巳ではなくこの2人のルートにずっとあったので今更というわけではないと思いますが…

敵の過去話はパターン化されてる流れは微妙だったものの、今までで一番感情のこもったシーンであったため良かったと思います。
特に新志郎については後戻りできないことをしでかし、自分を嘘か本当かもわからない事で塗り固めていったところは、実に人間らしいなあと思いました。

ヽ大と伏姫も突然(ではないが)出てきてなんだか勝手なことしていい空気吸いながら気持ちよく散っていったので、なんなのコイツら…という感想しか出てこなかったです。ラストバトルなのに。伏姫に関してはもう少し真兵衛の方から語って聞かせる形でいいので事前に親しみを出して欲しかったなと。伏姫の話をグランドエンディングとして取っておきたい気持ちはわかるのですが…

結局、ここを読んでいる時点では朱紅葉の危険性も、伏姫の訴えも全て推測でしかなく、結論のない話題をつらつら並べているだけだったので伏姫も真兵衛たちも、どちらも応援しきれなかったです。


仁義八行+伏姫叡智シーン
伏姫の話。八章で不満・謎に感じていた部分はある程度は解消されました。ただやっぱり、八章の何読まされてるの感を感じる前にこの話を出して欲しかったなと思います。

叡智シーンの方では、伏姫が大鶴達の覗きをしていたことに思わず笑ってしまいました。キスシーンまでバッチリ見てはわはわしてる伏姫様かわいい。


その他
・ゲーム形式について
多分売りにしている部分。私はかなり否定的です。ザッピングと言えば聞こえはいいですが、実際には読み進めている途中で唐突に話が打ち切られ、他の話を読むように勧められるシステム。前半は特に読み心地を損なっていたように感じます。シナリオを跨いだキャラの出演などは好きなのですが、そういう要素があるからといってこのようなぶつ切り感あふれるものを素直によろこべるかと言うと…

また、なぜか選択肢は序盤に集中しており、古文吾のもの以外あってなきようなもの。正直無くても良かったのでは?と思いました。


・OP
3種類。歌はどれも好きです。あえてお気に入りをあげるならやはり「宿命の刃」です。2回も流れるのが印象的でした。


・叡智シーン
息吹きかけの良さを知りました。あときちんとお口でのシーンと女性優位シチュが標準装備なのがえらい。特に後者。喘ぎ声より攻め音声の方が5倍は助かります。
しかし朝○ち処理、縄、風呂のテンプレ的な流れはなんだったんでしょうか…


総評
八つが一つになる物語ではなく、八つが四つのままほぼ平行線な物語。一つになる物語を期待していた自分としては終盤に行くにつれて不満が出てきてしまいました。裏切りとサブキャラの死も多く描かれ、途中からは悲しいというよりもまたかという気持ちが勝ってしまいました。

しかしやはり多数のイラスト、多数のキャラクター、多数の声優と、お金と時間と愛をかけて作られていることはよくわかる潤沢な作品でした。その点については評価できると思います。

次回作についてはそもそも作られるのか定かではありませんが、チェックはしようかなと思います。